ペアリングについて

コラム

フードペアリング、紅茶やワインではマリアージュともいわれます。

香りによる食べ合わせがあり、五味による味の組み合わせ以外にも香りで合わせると美味しく感じます。

特に紅茶は産地別に様々な香り、味わいが特徴。合わせるフードや紅茶によって相性の良い組み合わせが変わってきます。

個人の味の好みや、文化的な違いにより正解はないとされていますが、組み合わせ次第では思ってもいなかった発見や感動があるのがペアリング。

そんな中、紅茶×〇〇に絞って研究していきたいと思います。

フードペアリング理論

実はフードペアリング自体は科学的に理論立てされています。

フードペアリング社(https://www.foodpairing.com)が共通する香りをもつ食材の組み合わせは美味しいことを発見し、それを科学的に分析、データベース化しています。

意外な組み合わせだと、キウイ×牡蠣、トマト×イチゴ、チョコレート×キャビア。一見合わなそうだが香りに共通するものを持っており、美味しくなる可能性が高いとのことです。

上記ホームページからも食材の組み合わせを検索することができます。レストランなどで料理を出している方で興味がある方は是非検索して欲しいです。

またフードペアリングについて、詳しく書いたものが書籍にもなっています。

グラフィック社
ビジュアルでわかりやすい本を数多く出している出版社。デザイン、美術、マンガ技法、ガーデニング・インテリア、ドール、料理、...

「紅茶」の項目もあり、非常に参考になるので興味がある方は購入しても損はしないと思います。

では、フードペアリング理論に沿って合わせれば美味しい組み合わせが・・・?

もちろん間違いではないと思いますし、私自身感動を覚えた組み合わせがありました。

しかし、フードペアリング社のアロマホイールを見ていただければわかりますが、実は紅茶というジャンルはアロマホイールの種類が多く、強弱も大きいのです。つまり、ペアリングについて大きな可能性を秘めていることがわかります。

香りでは、香りに共通項のあるものを合わせると美味しくなる可能性が高いことが分かりました。

しかし産地別で紅茶の香りの特徴が違っていることから組み合わせは多岐にわたります。尚且つ、ペアリングに必要なものは香りだけではないことは皆さんご存じだと思います。味や食感もペアリングに重要な要素です。

ペアリングに重要な三要素

ペアリングに重要な三要素は、味、食感、風味です。

この3つの要素それぞれがマッチしたときに、特に美味しくなると考えています。

その中で紅茶と合わせることを考えると必然的にある程度絞れるのが、味、食感です。香りについてはペアリング理論がわかりやすく、更に突き詰めるには嗅覚を鍛えたり経験値も必要です。その点、味、食感については普段から食事している自らの経験が生きやすくわかりやすいです。

まずは味について考えてみましょう。

五味について

この項目は一般的な五味について解説していますが、次の項目にスキップしても大丈夫です。

食べたときに感じる味覚には、五味と呼ばれる感覚があります。

それは、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味です。これのバランスをとることで、美味しさを感じます。

それぞれ相互作用があります。

  • 甘味は塩味、うま味によって高められ、酸味とバランスをとり、苦味によって抑えられます。
  • 酸味は塩味によって高められ、苦味、うま味とバランスをとり、甘味によって抑えられます。
  • 苦味は酸味、うま味とバランスを取り、甘味、塩味によって抑えられます
  • うま味は甘味、苦味、酸味、塩味すべてのバランスを取ります。
  • 塩味はうま味によって高められ、酸味、苦味とバランスを取り、甘味によって抑えられます。

紅茶×お菓子だと、この五味を整えるには2つのアプローチが可能です。

紅茶をお菓子に合わせるorお菓子を紅茶に合わせる です。

基本的には紅茶をお菓子に合わせることが皆さん普段のペアリングの考えです。レストランなどをされている方は、フードペアリングがわかるとお菓子を紅茶に合わせることができます。これってとっても面白そうじゃないですか?

とはいえ、紅茶をお菓子に合わせることが一般的になると思います。

味は5つ全部はいると完璧になると言われ、2つ、3つと増えると美味しくなると考えられています。

五味の中で特にお茶に感じるのは甘味、酸味、苦味、うま味だと思います。渋味もお茶にはある味わいの一つではありますが、渋味は感覚でいうと辛味に近い痛覚だと言われています。

濃淡をそろえる

ペアリングで重要なのはお菓子も紅茶も美味しく感じなければならないということです。

つまり、一番よくない組み合わせは味が乖離することです。味の乖離については食感に関わることにもなりますが、今回は味で考えます

味の乖離はどんなことで起きるでしょうか。私は1つは味わいの濃淡で起きると考えてます。

具体的には「味わいの濃いお菓子に味わいの薄いお茶を合わせる」「味わいの素朴なお菓子に味わいの濃いお茶を合わせる」ことで乖離が起きやすいです。

どちらもイメージしやすいと思いますが、お菓子または紅茶のどちらかが際立ってしまいます。

つまり、味の濃いお菓子には味の濃いお茶を組み合わせる、味わいの素朴なお菓子には味わいの柔らかいお茶を組み合わせることが基本です。

もちろん味わいの濃いお菓子に繊細なお茶を合わせる場合はありますが、うま味によって味わいのバランスをとっていたりします。同様に濃厚なお菓子をさっぱりさせるお茶もありますが、タンニンによる油脂分の分解が作用していることもあり、ある程度の濃さは必要になります。基本的に味の薄いお茶は何と合わせても乖離しやすくなります。ストレートのお茶で合わせるには濃いめの抽出が必要になります。

味わいの繊細なお菓子に紅茶を合わせる時は「ストレートで美味しい紅茶」を選ぶのが良いでしょう。もし味わいの濃いお茶を合わせる場合はミルクティにして、甘味と旨味、食感を補完するとよりマッチしやすいです。それか、繊細なお菓子に濃い何かを合わせると合わせやすくなります。具体的にはスコーンにクロテッドクリームやジャムを合わせたり、パンケーキにハチミツをかけたものは合わせやすくなります。

食感

食感を合わせるのは1つ重要な要素です。

紅茶のほうからは合わせにくいので、必然的にお菓子や食事のほうから合わせることが多いです。

要は口溶けを合わせることです。これは前述の濃淡に近い内容にはなります。

チョコレートという素材を例にすると、板チョコは合わせにくく、チョコレートムースは合わせやすいです。なんとなく想像つき易いと思います。板チョコは舌の上で体温により溶かし、濃厚な甘さを感じられます。粘度の高い状態の板チョコと紅茶の粘度の低さでは味わいの乖離が起きやすいです。板チョコと合わせる場合は口の中で溶かした状態で合わせる必要があります。一方。ムースはどうでしょうか。口溶けが良く、ムースに生クリームの成分があれば紅茶もミルクティにしたときのような調和を感じられます。ミルクティに合う濃厚さのアッサム等はストレートで濃いめにいれるとミルクティにしたときのような感覚も味わえて2つの美味しさを楽しめるわけですね。

では口溶けがあっさりしているものはどうでしょうか。基本的には口溶けの良いものは紅茶にマッチしやすいです。ただし、水分量が多いお菓子はミルクティと合わせる場合は注意が必要です。ミルクティの味の決め手はミルクによりやすいです。イメージとしてはミルクに水を入れるような感じです。美味しくなさそうですよね。口溶けが良すぎて紅茶と合わせる前に口の中から消えてしまうのもあまりいいとは言えません。そもそも合わせられないですからね。

食感については案外難しいところで、口溶けに限らないことが多いです。サクサクとしたクッキーとストレートの紅茶って合わせやすいですからね。なんとなくのイメージなんですけど、サクサクとした食感が紅茶の水分でふやけて口溶けに変わるイメージです。でも個人的には同じクッキーでもバターの含有量の多いものがしっとりして紅茶と合わせやすいと思います。パサパサのクッキーはミルクティと合わせてあげると◎になったりします。

この理論だとアイスティーが難しいことがわかります。冷たいことは生クリームなどの口溶けが悪くなりやすいです。口内で合わせるよりも、濃厚な食べ物を食べた後に口をサッパリさせるイメージのほうが食事全体としてペアリングしやすいことが多いです。カレー×アイスティーは最高ですからね。

食感での組み合わせは結構必ずといったことはないように感じます。固形物と合わせても紅茶って美味しいですもんね。フードペアリング理論では食感はしっとりの中にザクザクとしたものがあると飽きがこなくなるといったように記されてます。飽きがこないというところにもポイントがあるように思われます。

紅茶を含むタイミングというにも重要になってくるので、紅茶と食材を口の中で合わせた瞬間、口に食材が少し残っている余韻、食材を飲み込んだ後の口残りと合わせる場面、それぞれどの場面でペアリングが有効か考えてみるのも一つの手だと思います。

フルーツ×紅茶

フルーツ×紅茶は一般的に美味しい組み合わせのイメージがあります。

ただし、私は生のフルーツはかなり難しい組み合わせだと考えてます。

フルーツの酸味が紅茶の渋味を際立たせやすいからです。

その為、フルーツを使う場合はコンポートなど甘味を加えたフルーツを合わせるまたはドライフルーツを合わせるとペアリングがしやすいです。もし生のフルーツを使う場合はメロンや桃など、酸味の要素が少ないものを選ぶと良いと思います。

またこれは香りのペアリングに関係しますが、生のフルーツには青さのある香りがあります。紅茶と合わせた場合青臭みが強くなる場合があります。概ね良くない組み合わせになる場合が多いので、生のフルーツは難しいと言えます。

とはいえ、風味によるペアリングは想像以上に良い効果をもたらす場合が多いです。オレンジ×ニルギリのシャリマティーというアレンジティーがあるように組み合わせ次第ではとても良い組み合わせになります。五味の考えでも、濃厚な甘さのあるマンゴーはダージリンと相性がよかったりします。このような組み合わせを発見したいのが当ブログの考えです。

まとめ

紅茶×〇〇のペアリングで重要な点は

  • 香りの共通項のあるものを合わせる。
  • 濃淡をあわせる。
  • 食感をあわせる。
  • 生のフルーツは難しい。合わせる場合は加工する。

上記がペアリングの上手くいくコツです。もちろんこれ以外の組み合わせでも美味しいものは見つかるでしょう。むしろ、それを発見するのがこのブログの目標だと思っています。

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